未経験から「ブロックチェーンエンジニア」になる方法


ブロックチェーンエンジニアは、仮想通貨や決済サービス、さまざまな業界で活用される最新技術を扱うエンジニア職です。
一見難しそうに感じられますが、プログラミングやWeb開発の基礎を学び、ブロックチェーンの知識を身につけることで未経験でも目指させます。
本記事では、未経験の方がブロックチェーンエンジニアに転身するための具体的なステップや必要なスキルについて解説します。
目次
未経験の人がブロックチェーンエンジニアになれるのか?
未経験でもブロックチェーンエンジニアに転身することは、十分に可能です。
ブロックチェーン分野は「超専門スキル持ち」だけの世界と思われがちですが、実際には未経験からでもチャレンジできる環境が広がっています。
特に25~29歳の若手層であればポテンシャル採用を狙えるケースも多く、将来性や成長意欲を重視する企業も増えています。
ITエンジニアとしての基礎力と学び続ける姿勢があれば、未経験からでも十分に目指せる職種だと言えるでしょう。
ブロックチェーンエンジニアの仕事内容
ブロックチェーンエンジニアの仕事内容は、以下のとおりです。
- スマートコントラクト開発
- dApps(分散型アプリ)の開発
- セキュリティ対策
- 独自のブロックチェーン技術の研究・開発
IT分野の成長が著しいなか、ブロックチェーンエンジニアの役割は多岐に渡ります。にブロックチェーンエンジニアに興味がある方は、より詳細な仕事内容を確認しましょう。
スマートコントラクト開発
ブロックチェーン関連の仕事では、主に「スマートコントラクト」と呼ばれるプログラムの設計と開発を行います。
スマートコントラクトとは、あらかじめ決められたルールにもとづいて、自動で処理を実行するプログラムのことで、ブロックチェーン上で動作します。
たとえば、ある条件を満たしたときに自動で支払いが行われたり、デジタルデータの所有権を管理したりする機能を作ります。
自動処理する機能は、「Solidity(ソリディティ)」や「Vyper(バイパー)」といった、スマートコントラクト専用のプログラミング言語を使って開発されます。
開発の過程では、契約内容に間違いがないかを慎重に確認する必要があります。
また、ブロックチェーン上で処理を実行する際には「ガス代」と呼ばれる手数料が発生するため、コストをなるべく抑える工夫も重要です。
先にテスト用のネットワークで動作確認を行い、問題がなければ本番環境(メインネット)に公開して、実際に利用されるようになります。
スマートコントラクトは、金融サービスやサプライチェーン(物流の流れ)管理など、さまざまな業界での活用が進んでいる、将来性の高い技術です。
dApps(分散型アプリ)の開発
ブロックチェーン関連の仕事には、P2P(ピア・ツー・ピア)ネットワーク上で動作する「非中央集権型アプリケーション(dApps)」の開発も含まれます。
dAppsは、特定の管理者が存在せず、利用者同士が直接やり取りするアプリケーションです。
業務では、以下のような技術や工程を組み合わせて、ブロックチェーンと連携するアプリケーションを開発します。
項目 | 内容 |
---|---|
フロントエンド開発(ユーザー画面) |
・使用技術:React、Vue.js ・ユーザーが操作する画面を構築 |
バックエンド開発(サーバー側の処理) |
・使用技術:Node.js、Python ・フロントエンドとブロックチェーンをつなぐ処理を実装 |
ブロックチェーンとの連携 |
・スマートコントラクトとの通信処理 ・ウォレット接続やトランザクション(取引)の管理 |
代表的な活用例 |
・NFTマーケットプレイス(NFTの売買) ・DeFi(分散型金融)プラットフォーム(資産運用・貸付など) |
活用される基盤技術・開発ツール |
・ブロックチェーン基盤:イーサリアム、Polkadot ・開発ツール:Truffle、Hardhat |
開発では、安全性・正確性・コスト効率を意識した設計と実装が求められます。
セキュリティ対策
ブロックチェーンシステムの安全性を確認することも、重要な仕事のひとつです。
具体的には、以下の対策をブロックチェーンエンジニアが行っています。
- スマートコントラクトが悪用されないように攻撃を防ぐ対策
- 大切な秘密鍵(デジタル状の鍵)を安全に管理
- システムに異常がないかをチェック
- 専用のツールでコードの安全性も定期的に点検
- SHA-256や楕円曲線暗号といった暗号技術によって不正な改ざんを防ぐ仕組みの強化
ブロックチェーンシステムの安全性と信頼性を高め、安心して利用できる環境を作り出しています。
独自のブロックチェーン技術の研究・開発
企業の希望に合わせて、専用のブロックチェーンを作る仕事もあります。
たくさんのデータを速く処理できるように工夫したり、その業界のルールに合った仕組みを入れたりすることです。
処理の速さと安全性のバランスを取るために、合意の方法をカスタマイズして調整します。
ブロックチェーンエンジニアの年収
ブロックチェーンエンジニアの年収は、世界的に見ても高水準で推移しており、例えば米国では未経験者でも年収約12万1,000ドル(約1,800万円)からスタートします。
高い水準の給与体系が実現できる背景には、ブロックチェーン技術の専門性の高さと人材不足、市場の拡大があります。
日本国内でも年収の水準は高く、平均で500万円~1,200万円、働き盛りの30代で約624万円、40代で800万円、50代で960万円と年齢や経験に応じて上昇します。
勤務地によっても差があり、東京都新宿区では月給75万円超(年収900万円相当)と高水準です。
役職や企業規模によっても年収は大きく変動し、部長クラスでは1,200万円超となるケースもあります。
このように、ITエンジニア全体の平均年収(約550万円)と比較しても高い水準にあり、今後も需要拡大に伴い高収入が期待できる職種です。
ブロックチェーンエンジニアの将来性は?
ブロックチェーンエンジニアは今後も高い需要が見込め、将来性は非常に高いと言えます。
2025年に向けて、ブロックチェーン技術は金融サービスを含めた多岐にわたる分野で導入が進み、業界の運営方法やデータ管理に革命的な変化をもたらすと期待されています。
特に「Blockchain as a Service(BaaS)」の普及により、企業は自社でインフラを持たずにブロックチェーン技術を活用できるようになり、MicrosoftやAmazon、IBMといった大手企業も参入しています。
また、AIとの連携やクロスチェーンプロトコルの発展によって、本人確認やスマートコントラクトの自動化、異なるブロックチェーン間のシームレスな資産移転が実現しつつあります。
こうした技術革新により、ブロックチェーンエンジニアは金融や物流、公共分野など「重い産業」にも不可欠な存在となってきているのです。
技術革新を背景に市場規模も拡大を続けており、世界のブロックチェーン市場は2030年までに1539.4億米ドルに達すると予測され、年平均成長率も非常に高い水準で推移しています。
開発者の需要は依然として高く給与水準も上昇傾向で、リモートワークの普及で世界中の人材にチャンスが広がっています。
今後は規制の整備や金融機関による導入拡大も進み、2025年はブロックチェーン技術の大規模な普及に向けた「転換点」になると予測されています。
このように、ブロックチェーンエンジニアは今後も多様な業界で活躍できる将来性の高い職種だと言えるでしょう。
未経験からブロックチェーンエンジニアを目指すステップ
ブロックチェーンエンジニアの道を未経験で目指す具体的なステップは、以下のとおりです。
- 基礎プログラミング(Solidity・Python)を学ぶ
- ブロックチェーンの仕組みを理解する
- ポートフォリオ(個人開発)で実力をアピールする
- WEB3関連の案件に関わるチャンスを探す
おすすめのステップを踏むことで、未経験の方でも転職成功を実現できるでしょう。
1.基礎プログラミング(Solidity・Python)を学ぶ
ブロックチェーンエンジニアを未経験で目指す場合、プログラミングの基礎である言語をしっかり身につけることが重要です。
ブロックチェーンの開発でよく使われるプログラミング言語の理解から始めましょう。
たとえば、契約プログラム(スマートコントラクト)を作るには「Solidity(ソリディティ)」、データの分析やツールづくりには「Python(パイソン)」がよく使われます。
また、プロジェクトによっては「C++」「Go」などの言語も必要になることがあるため、基本的な書き方や考え方をしっかり理解しておくと安心です。
オンライン講座や書籍、チュートリアルを活用し、実際にコードを書いて動かることで実践力を養ってください。
特にSolidityはスマートコントラクトの開発に必須なので、簡単なトークン発行や分散型アプリのサンプルを作成してみると良いでしょう。
2.ブロックチェーンの仕組みを理解する
ブロックチェーンの開発に取り組むには、基本的なしくみや考え方を理解することが大切です。
たとえば、以下のような基本的な仕組みを理解してください。
- 「パブリックチェーン」「プライベートチェーン」「コンソーシアムチェーン」などの種類と仕組み
- 取引を記録する仕組み(コンセンサスアルゴリズム)
- データを守るための暗号技術
実際に仮想通貨を使ってみたり、テスト用のネットワークで取引を体験したりすることで、仕組みをより深く実感できます。
3.ポートフォリオ(個人開発)で実力をアピールする
未経験者が転職や案件獲得を目指す際には、ポートフォリオを作成して自分のスキルや学習成果を「見える化」することがとても重要です。
ポートフォリオがあれば、実務未経験でも企業やクライアントに対して自分の実力や学習姿勢を示すことができ、選考の際に大きな武器となります。
スマートコントラクトや分散型アプリ(dApps)、NFTを発行できるアプリ、シンプルなウォレットなど、実際に動く作品を自分で作り、GitHubに公開しましょう。
さらに、開発の過程や学んだことをQiitaやZennといった技術ブログで発信することで、自分の技術力や意欲をアピールすることができます。
4.WEB3関連の案件に関わるチャンスを探す
基礎学習とポートフォリオの作成ができたら、実際の案件に関わるチャンスを積極的に探しましょう。
未経験OKのインターンやクラウドソーシングでの副業案件、コミュニティイベントへの参加など、Web3やブロックチェーン関連のプロジェクトに少しずつ関わることが大切です。
また、エンジニア向けの求人サイトや転職エージェント、DiscordやX(旧Twitter)などのコミュニティも、情報収集や仕事探しに役立ちます。
最初は、小さな作業やテスト開発などから始めて、経験を積みながら少しずつ仕事の幅を広げると、ブロックチェーンエンジニアとしてのキャリアを着実に築いていけます。
ブロックチェーンエンジニアに求められるスキル・知識
ブロックチェーンエンジニアに必要なスキル・知識は、以下のように多岐にわたります。
スキル・分野 | 具体的な内容 |
---|---|
暗号技術の理解 |
・ハッシュ関数(データの整合性を保つ) ・公開鍵暗号方式(安全な通信を実現) ・電子署名(改ざん防止や本人確認に利用) |
プログラミング言語 |
・Solidity(スマートコントラクト開発) ・Python(ツール開発やデータ処理) ・Go / Rust / C++ / JavaScript(基盤構築やWeb連携) |
システム開発の経験 |
・分散型アプリ(dApps)やスマートコントラクトの設計・開発 ・開発プロジェクトでの実装経験 |
セキュリティ・ネットワーク |
・脆弱性対策(改ざんや攻撃への備え) ・ネットワーク通信の基礎知識 |
ツールやフレームワークの活用 |
・TruffleやHardhatなどの開発支援ツールの使いこなし ・開発環境ごとの設定や運用の理解 |
ほかに、プロジェクトごとに異なるプラットフォームの理解や、開発ツール・フレームワークの活用力も求められます。
このように、ブロックチェーンエンジニアには多角的な知識と実践力が不可欠です。
未経験から転職を成功させるためのポイント
未経験への職種への転職を成功させるためのポイントについて解説します。
経験者にはない高い技術力がなくても、アピールの仕方次第で大きくリードできるので、面接をひかえている方は確認しましょう。
プロジェクト経験・個人開発のアピールがカギ
「ブロックチェーンを学んでいます」と伝えるだけでは、採用担当者に十分な魅力を伝えることはできません。
実際の転職市場では、学習意欲だけでなく「(間接的にでも)どのようなプロジェクトにかかわったのか」「どのような成果物を作ったか」が重視されます。
そのため、未経験者であってもスマートコントラクトやdAppsの個人開発、GitHubでのコード公開など、具体的なアウトプットを積極的にアピールしましょう。
自分で設計・実装したアプリや、チーム開発・ハッカソンの経験なども評価対象です。
実務経験がなくても「手を動かして学び、形にした実績」があれば、企業側も成長意欲や実力を認められやすくなるため、未経験からの転職成功の大きなカギとなります。
ベンチャー企業でゴリゴリ働きたいなら主体性が必須
ベンチャー企業でブロックチェーンエンジニアとして活躍したい場合、主体性や自発的な行動力が非常に重要です。
IT・WEB業界にはベンチャー企業も多く、ベンチャーやスタートアップなら未経験求人も見つけやすいでしょう。
ベンチャーの現場では、自分で課題を見つけて解決策を提案・実行する力や、新しい技術やツールを自らキャッチアップして導入する姿勢が求められます。
そのため、未経験者であっても積極的に学び、分からないことを自分で調べて行動に移す力があれば、周囲から信頼されやすくなります。
自ら手を挙げてプロジェクトに参加したり、コミュニティで情報発信をしたりするなど、能動的な姿勢も評価されるでしょう。
未経験者におすすめの学習リソース・スクール
未経験者におすすめの学習リソースとスクールについてご紹介します。
自力での学習が難しそうと感じた方は、とっつきやすい方法で学習を始めてください。
オンライン講座
オンライン講座の活用も、ブロックチェーンエンジニアを未経験で目指す方におすすめです。
UdemyやZero to Masteryなどのプラットフォームでは、SolidityやPythonを使ったスマートコントラクト開発、ブロックチェーンの基礎から応用まで幅広いコースが提供されています。
動画形式で分かりやすく、実際に手を動かしながら学べるため、初心者でも着実にスキルを身につけられます。
特にUdemyは日本語対応の講座も多く、レビューや評価を参考にしながら自分に合ったコース選択が可能です。
また、受講者同士のコミュニティやQ&A機能もあり、疑問点をすぐに解消できるのも大きな魅力です。
自分のペースで学習を進められるため、仕事や学業と両立しながらスキルアップしたい方にもぴったりといえます。
ブロックチェーン特化スクール
より体系的かつ実践的に学びたい場合は、ブロックチェーン特化型のスクールもおすすめです。
例えば「スタートバーンアカデミー」などは、ブロックチェーン技術の基礎から応用、スマートコントラクト開発、dApps制作まで実務に直結するカリキュラムを提供しています。
現役エンジニアによる指導や、実際のプロジェクトに近い演習課題が用意されているため、短期間で実践力を身につけられます。
受講生同士のネットワークや、卒業後のキャリア支援が充実しているスクールも多く、未経験から転職や独立を目指す方にとって心強いサポートとなります。
最新の業界動向やトレンドにも触れられるため、新しい知識を吸収し続けたい方にもおすすめです。
GitHubでのコード公開も効果的
学習を進める中で、GitHubを活用して自分のコードやプロジェクトを公開することも非常に効果的です。
GitHubは世界中のエンジニアが利用するプラットフォームで、ポートフォリオとして自分の成果物をアピールできます。
未経験者の場合、スマートコントラクトやdAppsのサンプルプロジェクトを公開することで、採用担当者やクライアントに実力や学習意欲を示せるでしょう。
オープンソースプロジェクトへの参加やコントリビューションを通じて、実践的な開発経験を積めるため、転職や案件獲得の際に大きなアドバンテージとなります。